長崎市のMICE建設計画について(その9)

 本日、いよいよ衆議院が解散され、12月2日公示、14日に投票の予定で総選挙が行われることとなりました。私も応援のため県内各地を廻ることとなります。皆様には師走の慌ただしい中での選挙となりますが、ご理解ご協力賜りますようお願い致します。
 
 さて、長崎市が計画しているMICE施設建設について、私はこれまでも疑問を呈してきましたが、市が9月定例市議会に用地購入予算案を提出したところ否決されました。このことは、議会としても同計画にノーを突きつけたわけであり、用地の購入はあり得ないと、議会の常識が働いたものとして、その賢明な判断に敬意を表したいと思います。
 一方、市は、この期に及んでも計画を考え直すことなく、議会の否決を受けて、今月3日を皮切りに24日までの間に市内各地合計36会場で市民向け説明会を進めています。
 市は7月にも市民向けの説明会を5回開催しておりますが、私はその際にも述べましたように、本来であれば、市民に対する説明は、JR貨物との用地交渉を行う前に開催し、その段階で市民に対し、建設の是非を問うべきであり、7月時点でも既に遅過ぎました。増して、議会で否決された後に、今更市民に対して何を説明するのでしょうか。
 議会の否決後に計画を見直し、土地の買収金額が減額されるなど中身に大きな変更があるのであれば、改めて市民向け説明会を開催することについて理解できますが、否決されたものを今なお進めるために、再度同じような説明会を開催し、よもや同様の予算案を議会に再提出しようと考えているのであれば、常識では考えられない事態です。
 今になって市民に対する説明会を重ねることで市民の協力をとりつけ、議会に対して圧力をかけようとしているとしか思えません。

 いずれにしても、約70億円もの額を用地取得費に投じることは疑問を禁じ得ません。この費用を他にまわせば、様々なことが実現できます。
 例えば、長崎市では現在、小学校就学前の乳幼児医療費が市の助成により負担が軽減されていますが、この対象を小学6年生までの児童に引き上げたとしても、追加費用は年間で約2億円に過ぎず、10年間行ったとしても20億円で可能です。
 また、市内には老朽化した自治会集会所が多数存在しますが、その建て替えには1件あたり約2千万円かかり、長崎市の場合、現在は最大で総額の半分の1千万円が補助されることとなっています。しかしながら、自治会が残り半分を負担できないため、建て替えは進まず、年に1,2件しか行われておりません。この建て替えに際し、仮に市が全額負担したとしても、100件で20億円です。
 さらに長崎市は防災無線が聞こえにくいという声を耳にします。個人宅で防災情報を受信できるようにするためには、1世帯あたり機器・工事費で約4万円かかりますが、65歳以上の高齢者だけの世帯(約4万世帯)を対象に、これを市の負担で行っても16億円で実現できます。
 70億円を他の事業に使えば、上記の他にも観光振興、教育、子育て支援策など、様々なことが実現できるのです。
 このように考えてみれば、市の財政が厳しい中、採算が取れる保証がない中で、用地取得のみで70億円もの税金を投じてMICEを建設する意義があるとは思えず、他に優先すべき事があると考えます。

 合併自治体に対する特例措置により、長崎市は合併後、年間約40億円(10年間で約400億円)の交付税が上乗せされてきましたが、合併後10年が経ち、特例措置の終了に伴い、今後交付税の大幅な減額が懸念されてきました。
 長崎市をはじめとする合併自治体からの要望を受けて、私自身、「合併自治体に対する財政支援策を実現させる議員連盟」の幹事長として、国に積極的に働きかけた結果、その削減を抑制するために、本庁舎から離れた場所にある支所(旧役場)を維持するための経費が、今年度から新たに財政支援されることとなりました。これにより、長崎市の場合、減額される予定だった交付税額のうち44%分が抑制されることとなりました。
 これに加えて、今後さらに交付税が上乗せされるような措置を年末に向けて議員連盟として強く働きかけているところですが、これは長崎市に合併された旧役場周辺部の振興のために使われるべきものであって、MICE建設のために使われるべきものではありません。

 11月18日の西日本新聞記事によれば、市民へのアンケートの結果も、MICE建設に「反対」が32%で、「賛成」19%を大きく上回り、建設の是非について「分からない」が49%となっており、同計画について市民の理解が得られていないことが明らかとなっています。
 市は、このような現実を直視し、計画を見直すべきと考えます。