長崎市のMICE建設計画について(その6)

 長崎市がJR長崎駅西側で建設を検討しているMICE施設については、以前から述べている通り、用地取得費が約72億円となっています。
 昨年10月に長崎市が、土地を所有するJR貨物に対して当該土地の売却を要請したのに対して、JR貨物が本年3月に「区画整理事業完了後の土地価格をベースとし、さらに当該MICEセンター事業及び周辺の街づくり事業等の土地利用計画を反映させた土地評価を基本」とするのを売却条件としたことが、議会への提出文書から明らかになっており、上記金額は、これを受けて試算された金額であることは明白です。
 また当該敷地は約2万㎡とされていますが、これは区画整理による減歩の結果であり、元々は約3万㎡であるため、上記金額は実質的には約3万㎡に見合う額となっています。
 通常、公共事業用地取得の際には、現在の公示地価を参考として売買価格が決められ、仮に地権者が金額に納得がいかなくても、同意しない場合は強制収用の可能性もあるという中で、やむを得ず売却する場合もあるのが現実です。
 県と長崎市が共同で取り組んでいる「JR長崎本線連続立体交差事業」においても、用地取得の際には現在の公示地価を基に金額(平米当たり13~15万円)が提示されており、今回のMICE施設のように、地権者の要求通りに10年先の評価額を想定して、公共用地を取得することは異例です。これは、当該敷地への建設ありきで計画を進めようとした結果であると考えられ、他の事業との整合性がとれていません。
 「JR長崎本線連続立体交差事業」で土地を提供した地権者や、今後公共用地に自らの土地を提供しようとする地権者が今回のMICE建設用地の売却額を見ると、公共施設のために土地を提供するという点で同じはずなのに、なぜ自らの土地は安いのかと、不公平に感じるのではないでしょうか。
 長崎市は何故、このような不公平感を市民に抱かせかねないような金額で用地購入してまで、このMICE施設を建設しようとするのか極めて疑問であり、72億という金額が適正価格なのか、議論が必要です。
 このようなことからも、この計画を拙速に進めるべきではないと改めて考える次第です。