通常国会を終えて

 一昨年の12月にわが党が政権与党に復帰して、早いもので1年半が過ぎました。安倍政権が進める経済政策「アベノミクス」の推進により、わが国の経済は大きな変化を遂げ、「失われた20年」からようやく抜け出し、実質国内総生産の成長率は6四半期連続でプラスとなり、有効求人倍率は長崎県でも4月には20年10ヵ月ぶりに0.8倍台となるなど着実に改善しています。
 本年4月には、少子高齢社会による人口減少社会に向けて今後益々必要となる社会保障財源の確保を目的とし、17年ぶりに消費税率が8%に引上げられましたが、経済成長と財政再建の両立に向けた更なる取組が求められています。
 さて、去る6月22日には、安倍総理が「好循環実現国会」と位置づけた第186通常国会が閉会しましたが、この国会では平成26年度予算が戦後3番目の早さで成立し、政府が新たに提出した法案の成立率が97.5%となるなど着実に成果を挙げることができました。これは皆様方のご支援により衆参の「ねじれ」が解消したことが非常に大きく、改めて感謝申し上げる次第です。
 なお、同月には「アベノミクス」の第3の矢である成長戦略「日本再興戦略」が改訂され、日本経済を本格的な成長軌道に乗せるべく、法人実効税率の引き下げや、新たな成長産業と位置づける農業と医療・介護の改革案などが盛り込まれました。
 同時に発表された「骨太の方針」、規制改革と併せて、引き続き経済の好循環の実現に向けて取組んでまいります。

(参議院決算委員長として)
 さて参議院では、私は一昨年より決算委員長の職にあります。国会の委員長は1年で交代するのが通例ですが、私は昨年夏に、同委員長として再任された経緯があります。
 参議院では本年3月末以降、毎週月曜日は終日決算委員会が開催され、平成23,24年度の決算審査を一括して行ってまいりました。
 決算委員会は、その結果を次の予算編成に反映させる重要な役割を担っており、その質疑は行政全般にわたります。参議院では特に決算重視と言われており、全般質疑及び総括質疑では予算委員会同様、総理大臣以下全閣僚が出席し、NHKで生中継されます。
 去る6月9日には、両年度決算の締めくくり総括質疑が行われ、冒頭、私自身も委員長として安倍総理に対し、財政健全化の必要性を訴え、同委員会における決算審査を来年度予算に反映させ、無駄な支出を減らし効率的な予算執行を行うことを求めました。また、介護や保育従事者の待遇改善のために必要な財源確保を求め、総理の所見を質しました。
 同日には両年度の決算をいずれも是認すべきものと決し、内閣に対し、予算執行の適正化に向けて決算審査の内容を十分に反映させた予算編成を行うべきことなど7項目について警告を行いました。
 昨年2月に、決算参照書類に落ち度があり決算審査が滞っておりましたが、野党の協力を得て、極めて異例ではありますが2年度分を一括審査することとし、このたび審査を無事終え、正常な状態に戻すことが出来ました。

(写真)6月9日、参院決算委員会(於国会内)

(写真)6月11日、参院本会議で決算委員長として審査の経過と結果について報告。採決の結果、本会議でも是認されました。(於参院本会議場)

(写真)決算委員会の前には必ず理事会が開催され、当日の委員会の議事内容や今後のスケジュール等について各党間で打ち合わせを行います(於国会内)

(自民党減少社会対策特別委員長として)
 党内では、私は昨年10月、人口減少社会対策特別委員長となりました。
 「社会保障と税の一体改革」で、消費税率引き上げにあたっては、消費税収を社会保障4経費(年金・医療・介護・子育て)に充てることとしましたが、同委員会は、そのうちの子育て支援制度について検討することを目的としています。来年度から始まる新たな「子ども・子育て支援制度」の円滑な実施に向けて、政府における検討と並行し、党でも繰り返し議論を重ねてまいりました。
 新制度では、質と量の両面にわたる幼児教育、保育、子育て支援の充実を図ることとされており、その実現には1兆円超の財源が必要となります。このうち上記「社会保障と税の一体改革」により、消費税の引上げ財源から7千億円は確保の見通しがついていますが、残り4千億円の財源確保が今後の課題となっています。
 そのため同委員会では、幼稚園・保育園・幼保連携型認定こども園など各施設が運営していくために充てられる7千億円の財源をどう割り振っていくのかについて議論を重ね、3月末には、それについての方針を了承するとともに、今後更なる財源確保に政府与党が一致協力し努めることや、保育士等の更なる処遇改善を図ることなど9項目からなる意見書を取りまとめ、党執行部や麻生財務大臣、菅官房長官はじめ関係閣僚に意見書を手交、子育て予算の拡充などを要請しました。
 去る6月22日には、県内でこれについて関心をお持ちの保育所・幼稚園事業者の皆様に対し、県主催で説明会を開催し、保育関係者約500名、幼稚園関係者約250名が集まる中、会議の冒頭に挨拶をさせて頂きました。

(写真)4月8日、菅官房長官へ人口減少社会対策特別委員会の意見書を手交(於総理官邸)

(写真)4月9日、麻生財務大臣に同意見書を手交(於財務省大臣室)


(写真)これに関連して、4月8日、自民党学童保育(放課後児童クラブ)推進議員の会の吉川貴盛会長ほか所属議員より、新制度における学童保育の拡充についての要望を頂きました(於参院決算委員長室)

(漁業・農業の再生に向けて)
 長崎県のような離島・半島地域では、水産業は地域の基幹産業となっていますが、燃油コストが漁業経費の3割以上を占め、他産業と比しても極めて大きく、燃油価格が高止まりする中、漁業者の出漁を可能とし、漁船漁業を維持・振興するためには燃油対策が必要不可欠であることを、私は折に触れて主張してきました。
 党内では水産関係会議の役員として、この問題について積極的に取り組み、昨年6月には、漁業経営セーフティネット構築事業(漁業者と国の拠出により、燃油価格の高騰時に補填金を交付し、経営の安定を図るもの)について、現行の支援に加え、今年度末までの緊急対策として国の支援を強化する特別対策の取りまとめに注力したほか、本年2月に成立した平成25年度補正予算では、コスト削減のための「緊急対策」として、省燃油活動推進事業(燃油使用量に応じた省エネ活動に対する支援策・1L当たり10円の支援)や省エネ機器等導入推進事業(LED集魚灯、船内機など導入する機械本体の2分の1の助成。長崎県では事業費ベースで7億円超)等を取りまとめました。
 同問題については、別途、過疎債を活用した離島漁業燃油補助を県に働きかけ、県内各市において過疎債による1L当たり10円の補助が行われることとなりました。なお、過疎債は本来7割が国の負担、3割が市町村負担ですが、私は市町村負担分の半分を長崎県が負担するよう県に働きかけ、これが実現に至った次第です。
 上記の結果、特に長崎県の離島と一部本土過疎地域については他県と異なり、漁業経営セーフティネット構築事業分プラス1L当たり20円が支援されることとなりました。
 このような取組みにも関わらず、漁業用燃油が高止まりする中で、現行の燃油対策の仕組みでは今後漁業者の負担が更に増大していくことを踏まえ、3月17日には参議院農林水産委員会で質問に立ち、水産関係予算の拡充と抜本的な燃油対策を林芳正農水大臣に対して強く求めました。
 なお、先般取りまとめられた日本再興戦略の改訂に際しては、各方面に働きかけた結果、「燃油高騰等の水産業を取り巻く状況を踏まえ、生産から加工・流通、販売・輸出の各段階における取組を強化する」という文言が盛り込まれることとなりました。

(写真)3月17日、参院農水委員会で林農水大臣に質問(於国会内)

(写真)5月13日、対馬の漁協組合長の皆様よりご要望を頂きました。(於参院議員会館)

 なお政府の規制改革会議では、農業に関連して農協、農業委員会や農業生産法人に関する改革が取り上げられ、大きな議論を呼びました。
 同会議の当初案では、農協中央会制度の廃止、農協の准組合員の事業利用を正組合員の2分の1以下とすることや、都道府県農業会議や全国農業会議所の廃止などが盛り込まれましたが、その後党内論議を経て、別途、党の改革案を取りまとめました。
 党の改革案を受けて、政府の規制改革会議の第二次答申では、農協の自主性も尊重し、中央会制度の廃止ではなく新たな制度へ移行するなど、中身をより現実的なものとすることになりました。
 同内容は、地域農協が自主性を発揮できるように農協のあり方を見直し、農業生産法人への一般企業の出資規制を緩和するなど、農業の競争力強化に向けたものであり、来年の通常国会にも関連法案を提出すべく、今後議論が本格化する見通しです。
 私は党内の農業関係会議の役員として、この取りまとめにも関与しましたが、法案提出に向けて関係団体の皆様の意見も十分に踏まえ、より良い法案づくりに努めてまいる所存です。

(合併自治体への財政支援について)
 国策として進められた「平成の合併」から10年の経過に伴い、合併市町村の普通交付税算定の特例である「合併算定替」の特例期間が終了します。今後合併自治体の交付税が大幅に削減されることが懸念される中、私は野党時代からこれについて国会で質問を行い、政府による対策を強く求めてきました。
 わが党が与党に復帰してからは早速、党内の国会議員に呼び掛け、合併自治体に対する財政支援策を実現させる議員連盟を発足させ、私は幹事長に就任、この場においても政府に強力に働きかけてきました。
 長崎県では10年間にわたり毎年370億円が13合併市町に交付されてきましたが、その打ち切りを目前に控え、政府による財政支援策の必要性を強く感じてきたことによるものです。
 この結果、政府は合併自治体において災害時の拠点として支所の重要性が増していることなど新たな財政需要を考慮し、これらを交付税の算定に反映することとし、今後5年程度の期間で見直しを行う方針を決定しました。
 まずは今年度より支所に要する経費について段階的に加算することとし、今回の措置により、長崎県では減額されることになっていた上記370億円のうち約140億円を確保し、交付税の削減を抑制できる見通しとなりました。
 今後、合併により面積が拡大したことによる経費の増加や、離島を合併した自治体の需要についても別途検討されることとなっていますので、同問題については引き続き積極的に取り組んでまいる所存です。

(写真)2012年3月、参議院本会議の代表質問の中で、当時の野田総理に合併自治体に対する財政支援を要請(於参院本会議場)

(写真)昨年12月20日、新藤総務大臣に同議員連盟の決議文を手交(於総務省大臣室)

(写真下)これに関連して5月10日、西海市合併10周年記念式典で挨拶しました。(於西海市・西彼農村環境改善センター)

(西九州自動車道新規事業化や県内道路予算の獲得に奔走)
 地元にとって長年の懸案だった西九州自動車道の松浦~佐々町間(約19km・全体事業費800億円)の新規事業化が、本年3月ついに認められ、今年度予算に調査費が計上されました。
 これを受けて、去る4月15日、中村 長崎県知事、朝長 佐世保市長、友広 松浦市長、黒田 平戸市長ほか関係自治体の首長の皆様が御礼に来訪されました。
 同事業については私自身、県知事時代も含め長崎県にとって最重要事項のひとつとして取り組み、今年度の新規事業化にあたり各方面に働きかけてまいりましたが、今後は一日も早く全線開通できるよう全力を尽くしてまいります。
 なお平成26年度予算では、国道57号(雲仙市~諫早市間)の森山拡幅事業として約27億円をはじめ島原道路に計96億円を超える予算がついたほか、西彼杵道路(時津町野田~同町日並)の新規事業化が認められました。

(写真)4月15日、中村 長崎県知事、朝長 佐世保市長、友広 松浦市長、黒田 平戸市長ほか関係自治体の首長の皆様が西九州道新規事業化の御礼に来訪されました(於参院議員会館)

(写真)同日、中村知事ほか関係自治体の首長の皆様と共に道路予算の御礼に太田国土交通大臣を訪問(於国交省大臣室)

(離島振興に向けて)
 私は昨年9月まで1年間、党の離島振興委員長の任にあり、離島振興、過疎対策について力を入れてまいりましたが、26年度予算では、離島活性化交付金の拡充や、一定の要件を満たす離島の航空路運航費補助制度について支援幅の拡大などが実現しました。
 県内の各市町長の皆様よりご要望を頂いている国境離島振興・保全に関する新法制定については、引き続き党内で検討がなされており、秋の臨時国会への提出を目指し、現在も調整を行っております。
 国境離島における人口の著しい減少の防止、定住促進のために、航路及び航空路における人の往来費用の低廉化や、産業振興・雇用創出策を盛り込んだ法案の早期取りまとめ、成立に全力を尽くしてまいります。


 さて、冒頭述べましたように、新たな成長戦略の中には法人実効税率の引き下げが盛り込まれましたが、これに関連して、例年であれば秋以降に議論が本格化する自民党税制調査会が今年は春から頻繁に開催されました。私は同調査会の役員でもあり、今後、経済成長と財政再建の両立を図るために、その代替財源をどうするのかを検討していかなければなりません。
 また、私は現在、党総務会のメンバーである総務を務めております。総務会は、党の最終意思決定機関であり、政府が国会に提出する法案や議員立法なども、総務会の了承を経てから国会に提出されることとなるため、あらゆる法案審査に関わっています。
 秋の臨時国会では、わが国を取り巻く安全保障環境の変化による集団的自衛権の憲法解釈の変更に伴う関連法案が提出される見通しであるなど、国内外に課題は山積しておりますが、今後も引き続き諸問題の解決に取り組んでまいるとともに長崎県の発展のために全力を傾注してまいります。